( 韓国 中央日報 )
韓国が軽攻撃機FA-50をアルゼンチンに輸出する計画に支障が生じている。アルゼンチン政府の予算不足のために進まなかった事業が今度は英国の流弾を受けた。このため輸出が白紙になるのではという懸念が出ている。 軍需産業界によると、アルゼンチンのアグスティン・ロッシ国防相は先月30日(現地時間)、ツイッターにこのようなコメントを載せた。 「FA-50戦闘機購買のために韓国航空宇宙産業(KAI)と対話をしている。今日、我々はFA-50の部品を生産する英国がわが国(アルゼンチン)に対する販売を禁止していると通知していることを知った。新しい帝国主義の標本」。 ロッシ国防相はKAIから受けた公文書の写真も載せた。受信者は駐韓アルゼンチン大使、発信者はKAIの海外事業担当者の公文書だ。 公文書によると、FA-50の部品のうち6つの英国で作られていて、これに対する輸出の権限は英国政府にある。ところが英国はアルゼンチンに対して武器禁輸をした状態だ。KAIは英国の部品問題を解決できなかったが最善を尽くすと約束する内容だ。 英国とアルゼンチンは南大西洋のフォークランド諸島(アルゼンチン名・マルビナス諸島)領有権をめぐり1982年に戦争をした。この戦争で英国から258人、アルゼンチンから649人の戦死者が生じた。 英国の対アルゼンチン武器禁輸はこの時に始まった。フォークランド戦争で敗れたが、アルゼンチンはまだ領有権の主張を続けている。 その後、アルゼンチンは経済難が続いて軍備増強をする余裕がなかった。このためアルゼンチン空軍の主力戦闘機は1956年に初めての実戦配備されたA-4スカイホークだ。一方、英国は2009年から最新鋭戦闘機のユーロファイタータイフーン4機をフォークランドに循環配備している。 こうした中、アルゼンチンは次世代戦闘機事業を進め、価格が安くて性能も良い韓国産FA-50に関心を見せていた。そして昨年7月、アルゼンチンがFA-50を導入する計画という報道があった。アルゼンチンは8機のFA-50購入を検討した。購買代金8億4000万ドル(約920億円)を今後10年間に2度に分けて支払う案も浮上した。 しかし新型コロナウイルス感染症がアルゼンチンで広がり、国防費が急減した。このためアルゼンチンはKAIとの交渉を延期していた。 こうした状況でアルゼンチン国防相がKAIの公文書を公開した理由は、英国に契約白紙の責任を転嫁しようとしたのではという解釈が出ている。アルゼンチンとしては泣きたいところに英国から殴られたということだ。 防衛事業庁の関係者は「KAIとアルゼンチンの交渉はまだ初期段階」とし「英国の禁輸問題は政府間で解決する事項だが、まだその段階に入っていない」と説明した。 FA-50は訓練機T-50ゴールデンイーグルを軽攻撃機に改造した機種。最大速度はマッハ1.5(時速1836キロ)で、戦闘の行動半径は444キロ。5トンほどの武装が可能だ。韓国空軍とフィリピン空軍がFA-50を保有している。