(ブルーンバーグ)

アルゼンチンのフェルナンデス大統領は2日に辞任したグスマン経済相の後任をなお模索している。同相の突然の辞任で、インフレが急加速し、ソブリン債がディストレスト債の領域にある同国の金融危機が深刻化している。

フェルナンデス大統領は3日、オリボスの大統領公邸で、決定に大きな影響を与えると見込まれるマッサ下院議長と数時間にわたり会談した。大統領報道官は協議が進行中だと述べたものの、発表時期に関する質問には答えなかった。

  穏健派として知られるグズマン氏は2日午後、ツイッターに7ページの辞表を掲載。クリスティナ・フェルナンデス副大統領は集会に出席中で、そのタイミングから経済の方向性を巡り連立与党内で溝が深まりつつあることがうかがえる。

Key Speakers At CERAWeek 2022
グスマン前経済相
Photographer: F. Carter Smith/ Bloomberg

  グスマン氏の辞任で、アルゼンチンが国際通貨基金(IMF)との440億ドル(約5兆9500億円)規模のプログラムの目標を達成できるかどうか疑念が強まっている。

  ゴールドマン・サックス・グループの中南米調査責任者アルベルト・ラモス氏は、グズマン氏の辞任が「IMFとの関係を危うくしかねない」との見方を示した。

その後、

アルゼンチンのフェルナンデス大統領は3日、左派の経済学者シルビナ・バタキス氏を経済相に指名した。グスマン前経済相の2日の辞任を受け、政治危機が深刻化し、経済や市場にも影響が波及した。

ガブリエラ・セルッティ大統領報道官はブルームバーグ・ニュースに対し、人事の決定を確認した。ブルームバーグが3日夜にバタキス氏にコメントを求めたが、返答はなかった。同氏は2011年から15年までブエノスアイレス州の経済相を務めた。

  バタキス氏の経済アジェンダ、国際通貨基金(IMF)プログラム、グスマン氏の辞任につながった連立与党内の対立をどう乗り切るかについて市場は手掛かりを求めている。アナリストは主要経済政策の立案やIMFとの交渉で同氏の経験不足を指摘している。

(Silvina Aida Batakis新経済相)
投稿者 荒尾保一