[ブルームバーグ 9日] – アルゼンチンの短期金利が8日、同国政府が自国通貨防衛策を強化する中で急上昇した。すでに脆弱(ぜいじゃく)な経済をさらに圧迫する資金不足が一段と深刻化している。11月28日満期の短期証券の利回りは87%に上昇。7日時点は74%、前週末の時点では51%だった。

事情に詳しい2人の関係者によれば、アルゼンチン金融当局は7営業日連続でドル売りを実施し、その規模は少なくとも合計3億2000万ドル(約488億円)に上るという。最近の危機の深刻化を受け、アルゼンチンのミレイ政権は、アルゼンチン・ペソ下落を防ぐため複数の手段を講じている。為替規制の一部復活や先物市場でのドル売りがその一環だ。だが、ペソ支援に向けた政府の措置が拡大するほど、現行の為替水準の持続可能性を巡る懸念は強まる。

ミレイ政権は、インフレを加速させる懸念があるため、26日の中間選挙前のペソ切り下げを回避したい考えだ。ミレイ氏は大胆な自由市場改革を進めるため、上下両院での支持拡大を目指している。証券会社one618のエコノミスト、サンティアゴ・レシコ氏は「市場は選挙翌日の為替制度変更を織り込みつつあるようだ。このため選挙が近づくほど、為替レートへの圧力が高まる」と指摘した。

投稿者 宍戸和郎