[ロイター 20日] – トランプ米大統領がアルゼンチン産牛肉の輸入拡大を示唆したことに対し、米国の畜産農家から批判の声が上がっている。
トランプ氏は19日、記録的な高値となっている国内牛肉価格を下げるため、アルゼンチン産牛肉の輸入拡大を検討していると述べた。トランプ政権は通貨スワップなどを通じアルゼンチンへの支援を強化している。これに対し、畜産業界は「生活を脅かす」と反発。全米牛肉生産者協会(NCBA)のコリン・ウッドオール代表は「国内の牛肉生産者にとって重要な時期に混乱を招くだけで、店頭価格の引き下げには寄与しない」と批判した。
米中貿易摩擦の中、中国は米国産大豆の輸入を停止し、アルゼンチン産の輸入を継続しているが、トランプ政権は先月、アルゼンチンへの金融支援を協議。国内農家から批判の声が上がっていた。トランプ氏は19日夜、大統領専用機「エアフォースワン」内で「大量ではないが、多少のアルゼンチン産牛肉を輸入すれば、アルゼンチンを助けることになる。アルゼンチンは非常に良い国で、非常に良い同盟国だと考えている」と述べた。
昨年の米国の牛肉輸入に占めるアルゼンチン産の比率は約2%。エコノミストは、アルゼンチン産の輸入を拡大しても、国内の牛肉価格を下げる効果は薄いと指摘している。米西部で数年にわたる干ばつで牧草地が枯渇し、飼料価格が上昇したことを背景に牧場主が牛の飼育頭数を大幅に削減。これが引き金となり、牛肉価格の高騰を招いた。
投稿者 宍戸和郎
