[時事 6日] – アルゼンチンのロサリオ穀物取引所は5日、同国で2024年に消費される牛肉の量が1人当たり44.8キロと、過去最低に落ち込むとの見通しを発表した。年300%近いインフレ率という経済危機により、「国民食」の消費は深刻な打撃を受けている。

1914年に集計を開始した1人当たりの牛肉年間消費量の統計によると、過去の平均は72.9キロで、1920年の46.9キロが最低だ。取引所は豚肉や鶏肉といった安価な食肉の普及に伴う長期的な牛肉離れに加え、「現在の景気後退によって、こうした傾向に拍車が掛かる」と分析した。

それでも、米国の38キロ、オーストラリアの27キロを上回り、ウルグアイとほぼ並んで世界最高水準の地位は維持する見通し。

アルゼンチンの牛は「パンパ」と呼ばれる草原地帯で育てられ、肉質は弾力のある赤身が特徴だ。炭火焼きによる調理が人気で、日本も2018年に一部の輸入を解禁した。

アルゼンチンでは昨年12月、経済危機克服を訴えたミレイ大統領が就任。インフレ抑制へ緊縮財政を進めたあおりで、深刻な景気後退に陥っている。

投稿者 宍戸和郎