[時事 7日] – ラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会の開幕まで、8日であと3カ月。日本は1次リーグD組でチリ、イングランド、サモア、アルゼンチンの順で対戦する。突破するには3勝以上が求められ、アルゼンチンとの最終戦は生き残りを懸けた戦いとなりそうだ。過去の対戦成績は1勝5敗。前回大会の8強以上という目標を掲げる日本協会の岩渕健輔専務理事は「トップ4に入るとなると、越えなくてはいけない壁」とみている。
唯一の勝利は、1998年9月15日に東京・秩父宮ラグビー場で行われた一戦。日本代表だった岩渕氏はSOで出場した。FWの苦戦が予想されたため、キックを多用して敵陣でのプレーを心掛けたという。互いに4トライずつ。SH村田亙の4PGと岩渕氏の2DGが効いて、44―29で快勝した。「取るべき点を取れた」と振り返る。
しかし、この後から日本は強化面で大きく後れを取った。アルゼンチンは99年W杯で日本に雪辱して初の8強入りを果たすと、2007年大会は3位、11年大会は8強、15年大会は4位。12年からは南半球4カ国対抗に参加し、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアとしのぎを削ることで大幅にチーム力がアップ。新たな強豪として認められるようになった。対照的に、日本はW杯で95年大会から11年大会まで白星なし。低迷が続いた。
引退後の岩渕氏が日本協会で強化に携わるようになると、急速な成長を遂げたアルゼンチンを「かなり分析した」と明かす。代表を一つのクラブチームのように長期間にわたる活動で強化を図っていたことに着目。これを手本にして、日本代表もW杯イヤーには150日間に及ぶ長期合宿を実施した。
日本は15年W杯で24年ぶりの勝利を南アフリカから挙げ、3勝と躍進。自国開催の19年大会で初の8強入りを果たした。岩渕氏は、テストマッチにはその国の強化システムの勝負という側面もあると考えている。「アルゼンチンに勝てなければ、その先には行けないので、本当の勝負だと思っている」。一時は大きく遠のいていたアルゼンチンの背中。W杯の舞台で撃破すれば、名実ともに日本の成長を示すことになる。
◇日本とアルゼンチンのW杯成績
年 日 本 アルゼンチン
1987 1次L 1次L
91 〃 〃
95 〃 〃
99 〃 8 強
2003 〃 1次L
07 〃 3 位
11 〃 8 強
15 〃 4 位
19 8 強 1次L
23 ? ?
(1次Lは1次リーグ敗退)
◇ラグビー日本代表のアルゼンチン戦成績
1993年 5月15日 ●27―30(トゥクマン)
22日 ●20―45(ブエノスアイレス)
98年 9月15日 ○44―29(秩 父 宮)
99年10月16日※●12―33(カーディフ)
2005年 4月23日 ●36―68(ブエノスアイレス)
16年11月 5日 ●20―54(秩 父 宮)
23年10月 8日※ ?―? (ナ ン ト)
(日本の1勝5敗。※はワールドカップ)
投稿者 宍戸和郎