[ブルームバーグ 15日] – 14日の金融市場では、アルゼンチンの国債が上昇する一方、通貨ペソが下落している。同国は国際通貨基金(IMF)から総額200億ドル(約2兆8700億円)の新たな融資を確保したが、その一環として為替管理措置の大半を解除した。アルゼンチン・ペソの公式レートは対ドルで約10%下げ、1ドル=1179ペソを付けた。同国国債は指標の2035年償還債利回りが11.6%に低下し、ブルームバーグがまとめたデータによると、新興国国債でこの日最も上げている部類に入る。
カプト経済相は11日遅く、IMFから今年150億ドルの融資を受け取り、このうち120億ドルは15日に入金されると発表。併せて、同国当局は為替取引に関する制限の多くを撤廃し、1ドル=1000~1400ペソの値幅での変動を容認すると説明した。資産運用者はアルゼンチン当局に対し、為替取引の制限を撤廃して外貨準備を比較的容易に積み増せるよう働き掛けてきた。それでも、今年下期に予定する中間選挙を前に同国政府がそれを実行すると予想していた向きはほとんどいなかった。
ウィリアム・ブレアの新興市場債券担当マネーマネジャー、ジャレッド・ロウ氏は「今回のタイミングと規模は予想外だった」と指摘した。買いはアルゼンチンの国債以外にも広がり、米株式市場で取引される石油掘削会社YPFの株価は一時17%高と急騰。アルゼンチン株に連動する上場投資信託(ETF)は一時9%上昇し、年初来の下げを帳消しにした。
投稿者 宍戸和郎