(NHK)
経済の混乱が続く南米のアルゼンチンで、先月の消費者物価指数が前の年の同じ月に比べて60%以上上昇し、市民が抗議デモを行って急激なインフレへの対応を政府に求めるなど、経済の先行きに対する懸念が強まっています。
アルゼンチンでは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを背景にして食料品や燃料などの価格の上昇に拍車がかかっていて、アルゼンチンの統計局は14日、先月の消費者物価指数が去年の同じ月に比べて64%上昇したと発表しました。
これは1992年1月以来、30年5か月ぶりの記録的な水準です。
こうした中、首都ブエノスアイレスでは市民による政府への抗議デモが行われ、急激なインフレによって生活が成り立たなくなっているとして、各世帯への現金給付などの対応を求めました。
アルゼンチン政府は、財政状況の悪化からここ数年、デフォルト=債務不履行に陥るおそれが指摘されていて、IMF=国際通貨基金から440億ドル、日本円で6兆円余りの金融支援を受けて経済の立て直しを進めています。
しかし、巨額の支援と引き換えにアルゼンチン側が進めなければならない緊縮策への反発が広がり、今月初めにはIMFとの交渉を主導してきた経済相が辞任に追い込まれていて、経済の先行きに対する懸念が強まっています。
投稿者 荒尾保一