ロイターの報道によると、 アルゼンチン政府は27日、同国発着の国際路線と国内線を含む全ての民間旅客便の航空券販売を9月まで禁止すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大を抑止するための渡航制限としては世界で最も厳しい部類に入り、航空業界からは抗議の声が出ている。
南米ではエクアドルやペルー、コロンビアを含む多数の国々が当面の措置として全民間旅客便の運航を禁止しているが、禁止期間がアルゼンチンほど長い国は他にいない。米国、ブラジル、カナダは渡航制限を導入しているが、禁止はしていない。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領の報道官は「アルゼンチンへの渡航が認められていないのに航空会社がチケットの販売を行っていたのが問題だった」と説明した。
航空券の販売禁止はアルゼンチンで国内路線を運航する中南米の航空最大手LATAM(ラタム)航空(LTM.SN)の経営を直撃するとみられる。同社は複数の政府に支援を要請している。
アルゼンチン最大の航空会社、アルゼンチン航空は国有企業のため、政府に補助金を出す意向がある限り存続が可能。
マクリ前政権の後押しを受けて急成長してきた小規模な格安航空会社(LCC)も影響を免れないとみられる。国内線を運航するフライボンディや国際線を運航するスカイ・エアラインズとジェットスマートなどのLCCがある。
政府の決定に対し、業界団体は共同で声明を出し、国内の数千人の雇用に対する「差し迫った重大なリスク」になっていると指摘し、業界側の同意を得ずに決定したことを批判した。

投稿者 荒尾保一