[ブエノスアイレス 21日 ロイター] – アルゼンチンのフェルナンデス大統領は21日、10月の大統領選に出馬しないと表明した。深刻な経済危機に直面している中、中道左派のフェルナンデス氏が出馬を見送ることで与党正義党(ペロン党)内の主導権争いが激しくなりそうだ。

2019年12月に大統領就任したフェルナンデス氏はビデオメッセージで「一般投票で正当に選ばれた人物に大統領のたすきを渡す」と表明し、2期目を目指さないことを明らかにした。

 インフレ率が100%を超えており、ドルの外貨準備高が減る中、正義党への評価は世論調査でも揺れており、大統領候補を巡って内紛も起きている。

07年から15年まで大統領を務め、現大統領と対立する場面も見られるフェルナンデス・デ・キルチネル副大統領が率いる最左翼からの決定を求める圧力もある。

 アルゼンチンは物価高騰で貧困率が40%近くまで上昇し、有権者の収入や消費力に打撃を与えている深刻な経済危機に陥っているにもかかわらず、世論調査によると今回の動きは正義党の勝利の確率を高める可能性がある。

15年から19年まで大統領を務めた中道右派の野党党首マクリ氏も今年3月、大統領選に出馬しないことを明らかにしていた。

投稿者荒尾保一