アルゼンチン中央銀行は2023年5月4日に「決済サービスプロバイダーは、アルゼンチンで規制されていない暗号資産やデジタル資産の取引を提供したり、取引を容易にしてはならない」との発表を行いました。

これは「決済サービスプロバイダーは暗号資産取引サービスを提供したり、アプリやプラットフォームで暗号資産を取引できるようにしてはいけない」ということを指しています。

具体的には「ユーザーのための自動購入ボタンを提供してはいけない」ということが記載されており「仮想通貨取引を行う人は、自ら取引を実行しなければならない」とも説明されています。

アルゼンチン中央銀行は、今回の措置の目的について「この措置は暗号資産やデジタル資産を使った取引が金融サービス利用者や国の決済システムにもたらす可能性のあるリスクを軽減することを目的としている」と説明しています。

この措置によって、アルゼンチンの決済サービスプロバイダーと金融機関は同じルールに従うことになると報告されています。

金融機関の仮想通貨サービスも認めない方針

アルゼンチン中央銀行「金融機関の暗号資産商品提供は認められない」と説明

アルゼンチン中央銀行「金融機関の暗号資産商品提供は認められない」と説明

インフレで仮想通貨が注目されるアルゼンチン

アルゼンチンでは経済危機が深刻化しており、最近では慢性的なインフレに大規模な干ばつが追い打ちをかけたことによって、物価上昇率が100%を超えたことも報告されています。

アルゼンチン・ペソ(ARS)の価値が下落している同国では、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を購入する人が増えていると報告されていますが、アルゼンチン政府は国民がBTCなどを購入することによって外貨が国外に流出することを懸念しています。

決済サービスプロバイダーが仮想通貨取引サービスを提供したりサポートしたりするのを禁止すれば、仮想通貨を購入するのが難しくなるため、仮想通貨初心者が仮想通貨関連で資産を失うリスクを減らしたり、国の金融システムへの影響を抑えることができると予想されますが、その一方では『多くの可能性を秘めた技術へのアクセスが制限される』として、措置の見直しを求める声も上がっています。

 

投稿者荒尾保一