[ブルームバーグ 27日] – アルゼンチンのドル建て国債が27日に大幅高となった。ミレイ大統領を支える与党が議会中間選挙で圧勝したことで、経済改革が行き詰まる可能性への懸念が和らいだ。ブルームバーグがまとめた参考価格によると、2035年償還のドル建て国債は額面1ドルに対し13セント余り上昇し、70.34セントと過去最高を記録した。アルゼンチン国債は新興国国債の上げを主導した。開票率が90%を超えた段階で、ミレイ氏の政党の得票率は41%。下院(定数127)のうち64議席、上院(同24議席)では13議席を獲得したと、現地選挙管理当局が26日遅くに発表した。
市場では与党連合の得票率は30%程度との予想が多かった。結果が明らかになるに伴い暗号資産取引市場でのペソ相場は26日に早くも上昇していた。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州新興市場担当最高投資責任者(CIO)、アレホ・チェルウォンコ氏は「ミレイ氏側の勝利の規模は事前予想の中でも最も楽観的なところに一致する。政権は構造改革を加速させるために必要な政治的資本を手にした」と述べた。
選挙結果を受けて、米国からの支援も続きそうだ。トランプ政権はアルゼンチン中央銀行と200億ドル(約3兆1000億円)規模の為替スワップ協定を締結し、ペソ安定化を支援。さらに、追加の200億ドル融資枠を巡り複数の銀行と協議していた。しかしトランプ氏は以前、ミレイ氏が「勝てば支援を続けるが、負ければ撤退する」と記者団に語っていた。
ナインティ・ワンの新興国現地通貨建て債ポートフォリオマネジャー、クリスティーン・リード氏はインタビューで「ドル建て債が上昇を主導するだろう。現地通貨建て債もかなり上昇するはずだ」と語った。EMFIセキュリティーズのストラテジスト、マティアス・モンテス氏は「選挙を前に市場は米ドルのロングポジションを取り過ぎていた。今後はポジションを一斉に閉じる動きが加速する」と指摘し、ペソの反発も見込まれるとの見方を示した。
投稿者 宍戸和郎
