アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領が、暗号資産(仮想通貨)はインフレに対抗できる能力を有し、「多少はハードカレンシー(国際通貨)」として機能する可能性があると指摘し、暗号資産について非常に強気なコメントをした。ただし、分散型デジタル資産の分野に特に精通しているわけではないという注意事項を加え、自身の意見を和らげようとしていた。

Filo Newsがユーチューブで配信するCaja Negraで、フェルナンデス大統領との長時間インタビューが放映された。その中で大統領は、暗号資産は「インフレーションを無効にする」能力があると主張。近年、ハイパーインフレに悩まされ財政的に窮地に追い込まれているアルゼンチンでは、インフレは大きな問題となっている。

しかし、フェルナンデス大統領あるいはその代理人は、暗号資産については積極的に議論したいようだ。大統領の公式ツイッターアカウントでインタビューにおける暗号資産についての発言を一部掲載し、議論をさらに盛り上げようとしている。

フェルナンデス大統領は、インタビューでの発言をツイッターで共有。

「暗号資産の運用についての議論は世界的なものだ。そしてこれは慎重に扱われるべき問題であると言わなければならない。私の場合、(暗号資産はやや)未知であるためだ。しかし、それを否定する必要はなく、恐らく良い選択である」

インタビューの中で、フェルナンデス大統領は暗号資産について、同分野の成長は今や「不可逆的」であると主張。

しかし、暗号資産の導入に関する課題は「慎重」に「注意して」扱う必要があることを繰り返し強調。また、「私の場合は」暗号資産分野の多くが「未知」であるということも正直に伝えた。

この件について質問された大統領は、「暗号資産の強みは、インフレ効果がほとんど打ち消されること」であると指摘。

続けて、「偽装や不正利用の事例がすでにあるということで、暗号資産が不安を生み出すということも事実である」と述べ、注意も促している。

しかし、コメントは概ね肯定的で、「ミクロ経済、テクノロジー、透明性、非透明性など、様々な要素が絡み合っているが、恐らく暗号資産は良い選択だ」と話した。

また、「ハードカレンシー」として「ある程度」機能するため、「インフレ」に対抗する能力を「多少なりとも持っているのではないか」と「感じている」と繰り返し伝えた。暗号資産分野においては、何らかの形で認可を受けた進歩は「リスクを取る価値がある」と述べた。

フェルナンデス大統領は、この件についてはこれ以上話さなかったが、アルゼンチン政府が暗号資産およびブロックチェーン分野の規制を計画している中で、フィンテック関連の法律が現在検討されていることにも言及した。

投稿者 荒尾保一