境町とアルゼンチン共和国の“友好の証し”として、1937年に建てられた交流施設「モンテネグロ会館」(同町上小橋)が建築家の隈研吾氏の設計で改築され、同所で16日、落成式が行われた。新しい建物は以前の建物に使用していた柱やはり、瓦などを再利用するなどし、アルゼンチンとの交流の歴史や木の暖かさを感じさせる造りとなっている。 旧会館は、1853(嘉永6)年の黒船来航の際に、境町出身の関宿藩士・野本作次郎がペリー提督と共に来航したアルゼンチン人船員を応接したことが縁で建てられた。建設に当たり、アルゼンチンのモンテネグロ駐日臨時代理公使=当時=が建築費用を援助。建設から80年以上経過し老朽化が著しいことから、国の地方創生拠点整備交付金を活用し、国際交流記念館として生まれ変わった。 施設内には、境町とアルゼンチンとの交流の歴史を紹介するコーナーをはじめ、地元の「さしま茶」を味わうことができるカフェ「Chabaco(ちゃばこ)」が設けられ、さしま茶染めのカーテンや照明シェードを用いている。 式典には、橋本正裕町長や隈氏、アルゼンチンのアラン・ベロー駐日大使、野本作次郎のひ孫である野本勇作さんらが出席。橋本町長は「“つなぐ”をテーマに隈さんのご協力をいただいた。会館として建物を建てておくだけでなく、館内でカフェを営業することで一般の人が来るようになる」とした上で、「町も維持管理費がかからず、町には賃料収入が入ってくる。新しい公共施設の運営方法で、多くの人が訪れる施設にしたい」と力を込めた。 隈氏が手掛けた建物はこれで町内五つ目となる。町は、来年4月に6施設目となる「干しいもカフェ S-CAFE(エス・カフェ)」を開店させる考えで、すでに設計に入っている。

茨城新聞社

投稿者 荒尾保一