アルゼンチンで12日、11月の議会選挙の候補者を選ぶ予備選挙が行われ、左派のフェルナンデス大統領が所属する与党連合は野党に大差をつけられて劣勢だった。

中道右派の野党連合「フントス(共に)」が2015年の結成後で最大の勝利を収めた。開票率96%の時点で全国の得票率はジュントスが41%、与党は30%にとどまる。

アルゼンチンでは有権者が予備選に投票する義務がある。2カ月後に下院の半数、上院の3分の1の議席を改選する中間選挙の世論調査のような役回りだ。

12日の予備選の投票で、フントスは正義党の伝統的な地盤で総人口の3分の1が集まるブエノスアイレス州をはじめ、主要地域の大半で勝利した。

 

これをを受け、13日の市場で主要株価指数メルバルは5%を超える上昇となり、通貨や国債も買われた。投資家は企業に厳しい対応をとる左派政権の退潮を歓迎している。

 この結果を受け、内務相、法務相、環境・持続可能開発相、科学技術相、文化相の5人の閣僚が辞表を提出した。これらの閣僚は、クリスティーナ副大統領に近い閣僚であるが、これを契機として、財政とIMFとの債務再編交渉を担うマルティン・グスマン経済相、工業生産と価格統制を担うマティアス・クルファス工業生産・開発相、サンティアゴ・カフィエロ首相といった、アルベルト・フェルナンデス大統領に近い経済閣僚の自発的辞任を促す狙いがるとみられる。政府は現在、IMFと債務再編交渉を行っており、グスマン経済相主導で財政の引き締めを行っているためだ。

フェルナンデス大統領は、閣僚の交代は行わないと言ってきた。この流れを回避するため、非キルチネル派で首相経験者でもあるセルヒオ・マッサ下院議長が仲裁に動いているとも報じられている。

投稿者 荒尾保一