[ロイター 24日] – 主要な農産物輸出国であるアルゼンチンで、大豆など穀物の取引がほぼ完全にまひ状態となっている。干ばつで大豆の供給量が不足している上に、19日の大統領選決選投票で勝利したハビエル・ミレイ氏の政策を見極めたいとの思惑から農家が生産を手控えているため。

大手穀物企業が組織する植物油産業会議所・穀物輸出センター(CIARA―CEC)のグスタボ・イディゴラス会長が22日夜、ロイターに明らかにした。同センターにはカーギルやブンゲなど米穀物メジャーが加盟している。アルゼンチンは大豆加工製品の輸出が世界首位。トウモロコシの輸出は世界3位で、小麦や牛肉でも主要な輸出国となっている。

イディゴラス氏は「今のところ穀物の取引はまひしている。供給不足が過去60年で最悪の状態となり、ミレイ氏の勝利で為替の公定レートが近く調整されるとの観測が広がっているためだ」と述べた。パラナ川沿いの大豆加工工場は原材料が不足しているため稼働率が大幅に低下しているという。

アルゼンチンは高インフレと自国通貨安を抑えるために厳しい資本規制を導入。通貨ペソは闇市場では対ドルで急落しているが、闇市場よりもペソ高の設定となっている公定レートしか使えない農家は収入面で打撃を被っている。

右派でリバタリアン(自由至上主義者)のミレイ氏は為替管理の撤廃や減税を公約に掲げており、大統領就任は12月10日。

投稿者 宍戸和郎