[CNN 28日] – アルゼンチンのミレイ大統領が、性差のない表現を全ての公文書並びに行政で使用することを禁止した。大統領の報道官が27日に明らかにした。右派のリバタリアンとして、自身の掲げる保守的な社会政策を引き続き実現しているとみられる。

即時発効したこの禁止措置は、「性差のない表現と、ジェンダー視点に関連する全てを国の行政全般で」禁ずる内容。マヌエル・アドルニス報道官が定例の記者会見で述べた。

アルゼンチンが公用語とするスペイン語は、多くの名詞が「o」で終わる男性名詞と「a」で終わる女性名詞に分かれる。スペイン語圏で性差のない表現を作り出す取り組みが行われる中、現在は語尾に「x」「e」「@」を用いた中立的な名詞を創出する動きが進む。たとえば中南米系の男性と女性を表す「Latino」「Latina」に対し、性的に中立な「Latinx」という表現を作るといった取り組みだ。

アドルニス報道官は、性差をなくすことを念頭に「e」「@」「x」を使用することは今後できなくなると説明。また「あらゆる行政文書の中で女性形の語の不必要な使用は避ける」べきだとも付け加えた。

その上で、性差のない表現が社会のあらゆる層に波及しているとの主張に反論。「全ての領域に波及している言語は我々が現在使用しているカスティリャ語、つまり標準スペイン語だ」と述べた。

また「ジェンダー視点」は政治的な道具として利用されているとの見解も示した。

今回の発表に先駆け、アルゼンチンの軍隊では国防省の決議に従い、性差のない表現が禁止されていた。

アルゼンチンでは2021年、当時のフェルナンデス政権が男性でも女性でもない「ノンバイナリ―」の性別の身分証明書(DNI)を発行すると発表。新しい制度により、身分証明書やパスポートの性別欄に「X」の分類が導入されていた。

フェルナンデス氏は演説でも性差のない表現を使用していたが、昨年就任したミレイ氏は文化戦争にまつわる問題について保守的な政策を追求している。

投稿者 宍戸和郎