[ブエノスアイレス 28日 ロイター] – ドイツのショルツ首相は28日、訪問先のアルゼンチンで、欧州連合(EU)と南米4カ国の関税同盟メルコスル(南部共同市場)との自由貿易協定(FTA)に関する交渉の早期決着を呼びかけた。

ショルツ氏は南米を初めて歴訪中で、チリとブラジルも訪問する。ドイツは中国への経済的な依存度を引き下げて貿易相手を多様化するとともに、世界の民主主義国家との関係強化を目指している。

ショルツ氏はアルゼンチンのフェルナンデス大統領と記者会見し、「貿易関係をさらに深化させる大きな潜在性があり、EUとメルコスルの協定締結がもたらし得る可能性はとりわけ重大だ」と強調。

EUとメルコスルは2019年にFTA締結で原則合意したが、各国議会による批准手続きが止まっている。フェルナンデス氏は欧州の保護主義が膠着を招いているとの見解をこれまでに示している。EUの外交関係者らは、ブラジルが熱帯雨林アマゾンの破壊拡大を食い止めるために具体的な措置を講じる必要があるとしている。

ただ、今年就任したブラジルのルラ大統領は気候変動対策の見直しを公約しているため、ドイツ政府は環境保護を巡る懸念が払拭されることを期待している。

 

投稿者 荒尾保一