(西原なつき ニューズ ウイーク)

2022年ワールドカップ、念願叶いアルゼンチンがついに36年ぶりの優勝!!
劇的勝利、そして盛大な凱旋パレードから約一週間経った今も、国内ではまだその余韻に浸っているような空気があります。

(優勝後のキャプテン・リオネル・メッシのツイート。
「世界チャンピオン!何度も夢見て、願ったものが現実になっていること、まだ信じられません……。家族、応援してくれる人たち、そして僕たちを信じてくれた人たちに感謝します」)

試合は後半戦残り10分というところまで2-0で、これは勝てるとアルゼンチン国民全員が一度は思ったところからの引き分け。延長戦でも一点を入れた直後に追いつかれPK戦にもつれこむ・・・、そんな息が止まりそうになるような試合を制した瞬間、爆発したかのように歓喜の叫びが街中、国中で響き渡りました。試合後は市の中心部や街角に人々が集まり、喜びを共有しあっていました。私も中継でメッシがトロフィーを掲げるシーンまで見届け、電車に飛び乗ってブエノスアイレスの中心部、オベリスコまで行ってきました!優勝直後から現在までのブエノスアイレスの街の様子を、ツイートと共に振り返ってみたいと思います。

この盛大なクラクション、到着する電車も喜んでいる・・・のか、ホームに落ちないように気をつけろという意味なのかかわりませんが、電車内の熱気が既に感じられます。

目的地に着くまで約40分乗っていたのですが、途切れることなく歌い飛び跳ねていました。
陸橋などを渡っているときも電車は縦に横に揺れていたので、私も飛び跳ねつつも頭の片隅では脱線して大事故になりやしないかヒヤヒヤでした。(そんな心配をしていたのは日本人の私だけだと思いますが)

そしていざ、オベリスコに到着!

奥に見える白い塔がブエノスアイレスのシンボル「オベリスコ」、大きなユニフォームがかかっている建物が世界3大劇場のひとつ「テアトロコロン」です。ここの人々は嬉しいことがあると高いところに上りたがる習性があるようで、大通り中央部、バス停の屋根の上にも人が沢山上っています。

信号などの他、オベリスコ、テアトロコロンの屋根の上にもよじ登ってアルゼンチン国旗を振り回して喜びを表現している人たちもいました。

またそんな大騒ぎの傍ら、街中ではこんな感動的なシーンも。歓喜に沸く街中に住む老夫婦と、その付近にいた人々が一緒にお祝いしている様子です。

こういった光景が町の至る所で起こっていたのですが、その発端は、TikTokにアップされたひとつの動画。
グループリーグ勝利時から、町の若者たちとおばあさん(スペイン語でAbuela)が一緒に町中で盛り上がっている動画がSNS上でバズり、ここで即興で歌われていた、Abuela lalala♪というフレーズと共に、優勝時にはおばあさんが国民的有名人になっていた、、というのも忘れられないエピソードです。老若男女関係なく、知り合いであろうがなかろうが、みんなで一緒に祝福ムードを作り上げている様子は、アルゼンチンらしくてあたたかい気持ちにもなりました。

そして優勝の翌々日、20日火曜日。この日、アルゼンチン選手団が凱旋帰国パレードをするということで、大統領はこの火曜日を祭日に制定しました。

飛行機は遅れに遅れ深夜二時半にアルゼンチンに到着。そして選手団がバスから挨拶をしたときにはこれだけの人が集まっていました。

この日はお昼12時頃から凱旋パレードが始まる、ということだったのですが、当初のルート付近や最終到着地点であったオベリスコには既に大勢の人が集まっており、何度も何度もルート変更が発表され、結局どこを通るのかわからないまま皆賭けのように待機していました。私も大統領府前などにも行ったりしましたが、最終的に待機していたのはこちら。

そして最終的にどうなったかというと・・・。

高速道路を普通に歩くよりも遅いペースで選手団を乗せたバスが進んでいき、これはこのまま進んでも今日中には都市部にはつかないのでは・・・と誰もが思い始めた頃、高速道路にかかる陸橋の上から選手を乗せたバスに飛び降りた人が出た為、危険と判断し続行不可能に。そこからヘリコプターに乗り換え、集まったファンたちに空から挨拶するという結末となりました。ここに集まった人の数、400万人以上。アルゼンチンの人口の約10分の一の人々が首都の一か所に集まったということで、歴史的な一日と報道されていました。私たちの周りでは誰も文句を言って大騒ぎするでもなく、幸せに祝福ムードのまま帰路についている人たちが多かった印象でしたが、夜になると中心部では警察と衝突しての暴動も起きていたようです。

その後の街は通常の生活に戻りながらも、まだアルゼンチン国旗でデコレーションされた店内はそのままにしているところも多く、余韻に浸りながらの年末を過ごしています。

 

投稿者 荒尾保一